理事長あいさつ
Greetings from the President
私はかつて脳外科医として大学病院や市中病院に勤務しておりました。昼夜を分かたず手術をし、患者さんの命を救っているつもりでいました。しかし、家に帰りたくても帰れずに、病院のベッドで人生を終えていく患者さんが多くいたことも事実でした。
平成6年にあべクリニックを開院して、しばしば依頼があって往診してみると、その多くが脳外科疾患の後遺症の患者さんでした。それまで外来で多くの患者さんを診てきましたが、通院できなくなった患者さんの自宅での生活を目にしたことはありませんでした。当時、まだ介護保険のない頃で、寝たきりの患者さんとその家族をとりまく状況は大変厳しいものでした。あの時、死んでいたほうがよかったと嘆く患者さんを前に、今まで自分がやってきた脳外科という医療に何の意味があったのかと突きつけられた気がしました。以来、障がいをもちながらもその人らしい生活を楽しんでもらうには、家に帰してあげることだと痛感し、生活をささえるための医療・介護事業と生活の質を向上させるためのリハビリテーションの充実に力を注いでまいりました。今後も、安心して老いることができる地域社会の実現のために微力を尽くしていきたいと考えております。